勢山社では、新たに仏さまを造顕するだけでなく、長い年月大切に守られてきた仏さまの修理・修復も行っております。
修理・修復と一口にいっても、仏さまの守られてきた環境や歴史によって傷みの状態は様々です。
仏さまの安置される状況や環境も考慮した上での修理・修復・彩色方法を提案させていただいております。

修理修復工程
佛像の修理には現状維持修理と、修復復元の修理がある。
現 状 維 持 修 理
普通、文化財としての修理はこの方法が多く取られる。
修 復 復 元
残っている像容や痕跡から造顕当初の姿を想定し、傷みのある箇所は修復し
欠損部分は復元を試みる。修理方針にもよるが、古色を付け建物や他の諸佛
との時間的な差を感じさせないようにすることも重要である
1.調査

修理開始に当たっては充分な予備調査
が必要である。 開始前の損傷状態、
虫害調査と薫蒸処置が施され、レント
ゲン撮影や小型カメラによる胎内撮影
等も行う事もある。

経験と科学の両面から古佛の修理にあたる。
修理後再び薫蒸による防虫・防黴処置を行
い完了となる


2.解体

塗膜を取り去り、
木地部だけにする。


3.欠損部補修

欠損部を補い、バランスを調整しながら
再び組み上げる。

復元部を含め、木地がほぼ完成。

彩色・箔押

漆塗りを経て彩色、箔押しを行う。

雲部分は箔を張り
身光部は胡粉で盛り上げるように文様
を描き、上から箔押しする事で凹凸の
ある文様が浮び上がる。

佛身部の文様は、参考に取っておいた
残片を基に,
型紙をおこして復元し、
仕上げ用の漆を用いて文様を描き込み、
漆が乾く前に金粉を蒔いて定着させる。
その後頭髪、開眼を行う。


復元修理例

三田市 曹洞宗永澤寺 阿弥陀如来像

長年の湿気からか、佛身部すべての
下地が浮き上がり表面材(漆箔部)
の剥落が激しかった。
欠損部も多くあり、全面解体をして
細部を修復する完全復元修理をした。
彩色部分も断片の
絵柄を基に、創建当初の技法にて
復元した。

制作工程