1.用材選木
木曽で檜の原木を選定した後、用材の木曽檜は一旦名古屋の
白鳥御材木場に移動ここで筏に組まれ、数年間水中乾燥される
(海水と樹液の浸透圧を利用して樹脂分を押し出す事により、
陸上での乾燥が一律となり美しい木肌に仕上がる)
水中乾燥は費用と手間のかかる方法のため、現在ではほとんど
行われていないが、数千年の命を必要とされる佛像を制作する
為には欠かせない工程。
数年を経た檜材は陸揚げの後、再び木曽谷へ製材の名人により
大きく板状にされる。その後 勢山社 にて桟積みされ 自然乾 を
経て佛に姿を変える日を待つ。
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2.図面制作
視線・人物・仏具等も書き込み、大きさの把握をしながら図面
を完成させる。
原寸に延ばした図面を想定位置に置き、検討する。これにより
得た資料を基に下図を改め、描き直したものが制作図面となる。
これは平面図で表されるが、奥行きやポーズ等、立体構想に
基づいて描かれている。 |
3.木寄せ
原型(雛形)を基に順次材を接合し大きな板材を造り出してゆく。
原型輪部の賽の目を基準に五倍に引き延ばした図柄を本像用材に
写し取り、荒彫りする。
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4荒彫り〜小作り
荒彫りした板材同士を接合し、更に荒彫り、小作りへと彫りを
進める。 像が大きい為、作業箇所から全体像を見て彫り進める
ことができないので、像から数歩離れて全体を確認しつつ作業
を進めたり、離れた位置から勢山が弟子達に指示を送りながら
像のバランスを整える。 |
八葉(写真中央)の上に原型の光背があるが、5倍に拡大すると
(体積にすると125倍)これほどの大きさの差になってしまう。 |
5.仕上げ
頭部を中心にして手、足といった離れた箇所の小作りも進められ、仕上げ作業に近づいていく
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仮組み立てをし最終仕上げに入る |
6.彩色・截金
木地の仕上がった像に彩色、截金をほどこしていく。
流れやすい岩絵の具の性質上、彩色は像を横に寝かせての作業となる。
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蓮台や八葉には緑青を撒き、截金が施される。 |
光背箔押し作業。彩色が終了した光背に、
強調の ための金箔が押される。 |
6.完成 |