早朝5時20分、星がきらめく真っ暗闇の中家を出発したが予想したほど寒くない。大船駅で6時7分発の成田エクスプレスに落ち着いた頃には、空に赤みが差してきてとても綺麗だった。まばらだった乗客も横浜でほぼ満席になり、12月半ばのこの時期でも旅行に出る人が多いことに感心!
東京駅の地下ホームを脱出したら、輝くばかりの青空でビルなどに朝日が当たり、それは綺麗!急に旅立つことを実感し、わくわくしてきた。
8時少し前、空港駅に到着し改札口を出ると、目の前に荷物のチェックカウンターがありパスポートを求められた。ここで初めて海外旅行を実感!
出発ロビーは4階だ。大きな荷物を引っ張ってエスカレーターを乗り継ぎ、かなり歩いてようやく到着した。さすがに空いているが、この広い空間が長い休みの時期には人であふれるのかと思うと、想像しただけですごい!
受付を済ませ、荷物を預けたのでホッとしたのか急にお腹が空いてきた。エクスプレスの中でちゃんとサンドイッチを食べたのに・・・と思いながら、当分お目にかかれないと海苔巻きなどを食べてしまった。
9時30分集合。添乗員さんから搭乗券が手渡され、いよいよ出国審査だ。何もやましいことはないのに緊張する。
ところで、審査のために列を作り順番を待っていたら、隣の列の後ろのほうでベビーカーに乗った子(2〜3歳?)が、飽きてしまったのか「おりたい〜」とぐずり始めた。
父親が外国人の親子連れで、しばらくなだめていたが泣き止まない。
「だっこする?」と父親が言いかけた時、母親が「ちょっと見てごらん」と言ってベビーカーの向きを替え「みんな並んでいるでしょ。あそこで「飛行機に乗って良いですよ」と言われないと乗れないのよ・・・乗れなかったら困るでしょう?」と説明を始めた。
そうしたら、その子は急におとなしく・・・。時間にして5〜6分の事で、後ろ眼に何となく様子を見ていた私は、小さな子でもきちんと説明をすれば理解し納得するんだな〜と、感心し大切なことを教えられた気分だった。
10時30分、いよいよ搭乗が始まった。オランダ航空なのでさすがに外国人が多い。みんなとてもスマートでかっこいい!!
アムステルダムまで、飛行時間10時間40分・日本人乗務員3名などと案内があった。
おかしかったのは、手荷物検査でボディチェックを受けていたスチュワーデスさんがいたこと。乗務員も厳しい検査を受けていることを初めて知った。
朝はあんなに晴れていたのに窓には雲しか見えない。3年前にロンドンに行ったときは、空の上からの景色が素晴らしく大感動だったのに・・・と思い出していたら飛行機が滑走路に向けて動き出した。
そういえば席に着いたら、さっきのおチビさん親子が前の席に座っていたのにはびっくり。もしかしたら可愛いお友達が出来るかな〜と、ちょっぴり期待していたら「シートベルトをしたくない」と、急にその子が泣き出した。きっと窮屈なのが嫌なのだろう。
加速!いよいよフライトだ。
さすがに朝が早かったので、おやつのあと少しうたた寝をしていたら、初めての機内食が運ばれてきた。メニューはベジダブルパスタ・サラダ・パン・チーズ・クラッカー・チョコレートケーキ。どれも美味しく、しっかり食べてしまった。
11時発だったからもう3時間が経った。前のおチビちゃんが、私たちのほうを覗き込んだのがきっかけで、すっかり仲良くなり、遊んでもらっているので退屈はしない。
そろそろ身体を動かさなければと席を立ち、通路でふと窓の外を見たら、いつの間にか雲が消え、そこには山々が連なる白銀の世界が広がっていた。もう川も凍ってしまっているのだろうか。空を見上げると白く丸いものが見える・・・青空に浮かんだ月だった。それもくっきりと!何だか不思議な感じだ。
あれ?そういえば、昨日までの腰の痛みはどこにいってしまったのだろう。情けなくも、出発一週間前にぎっくり腰になってしまい、慌てて2度も治療に通ったものの、完全には治らず不安を抱えての出発だった。
眼が覚めたら外がすごい!雲と空の境界(?)が青と赤の2色に彩られていた。
青空から夕焼け空に、そして夜空へと変化しているのに、月の位置はあまり変わらないのも不思議だ。
日本時間では夕方の4時30分ごろなのに、機内はすっかり夜の雰囲気。月を追いかけるように飛んでいるのかな〜?などと考えていたら、いつの間にか一時間ほどはうとうとしたらしい。やはり熟睡はできず細切れに眼が覚めてしまう。
トイレに行くぐらいしか動いていないのに、お腹だけはちゃんと空くので、これもしっかり食べてしまった。今朝からの摂取カロリーを考えると恐ろしいけれど、ケーキもアイスクリームも本当に美味しい!
外はまだ闇だ。いつの間にか月は見えなくなっていた。今いったいどの辺を飛んでいるのだろう。時々前の小さなモニターに現在地が映っているようだが、遠くでまったく見えない。いつの間にかこの席について7時間が経っていた。
外が少し白っぽくなってきた。おチビちゃんはしっかり眠っていて、遊んでくれないので少々退屈だ。日本では夕食の時間・・・などと考えてしまう。
しばらくしてすっかり夜が明けたが、下界は厚い雲に覆われて何も見えない。でも、朝焼けで染まったピンクの部分と、ブルーの空のコントラストが本当に綺麗だ。
かすかにお腹が空いてきたな〜と思っていたら食事の時間。親子丼・野菜サラダ・ミックスフルーツ・マフィンが運ばれてきたが、これは一体どの部分の食事になるのだろう?もう訳がわからないのにしっかり食べる。
窓際のお隣さんと、おチビちゃんに別れを告げた。
予定より早めに着いたが、入国審査を済ませローマへの乗り継ぎ便ゲートに移動しなければならない。
ところで、以前は他国に入国する時は「入国申請書」のようなものを書いていたのだが、今回はそれがなく、目的地はイタリアなのにオランダで入国をしてしまった。
ローマまでの乗り継ぎ便は、ほぼ満席で200人ほどが乗り込み、16時15分予定通り飛び立ったようだ。というのは滑走路へ移動の最中に、ものすごい睡魔におそわれ、その瞬間が記憶にない。
しばらくして、いったん沈んでしまったと思っていた太陽が、雲海の隙間からまた光りだし、雲を赤く染め暗闇の中で輝きだした。幻想的な美しさに息を呑み、その光景の変化に眼は釘付けだ。まだ目的地に着いてもいないのに、今回の旅の半分を楽しんだ気分で嬉しくなってしまう。
以前は、どちらかといえば飛行機は苦手だったが、この楽しみを知ってからは大好きになった。そうそう、さすがに時計は現地時間(日本より8時間遅れ)に修正した。
いよいよイタリアだ。この空港は別名レオナルド・ダ・ヴィンチ空港とも言われ、ローマオリンピックの時に造られたそうだ。その後増築を繰り返しているので複雑な構造になっているとのこと。
荷物が迷子にならず到着していてホッとし、迎えのバスに乗り込みホテルへ向かう。
20時ごろ部屋に入った。リビングとベッドルームが別のかなり広い部屋でびっくりだ。 すっきりしたインテリアだし、バスルームも広く予想以上の部屋だったので嬉しい。
そのまま朝までのはずが、さすがに3時ごろすっきりと眼が覚めてしまった。
海外旅行の場合、特に緊張するのは入国審査と荷物チェックだ。
でも昨日のアムステルダムの審査官は、ニコニコと「こんにちは!」と言ってくれ、こちらもつい「日本語上手ですね」などと返してしまい、「ありがとう」と無事に終了。
4時になってしまったけれど眠くない。8時半出発だから6時に起きればいいと思っていたのに・・・。これが原因でバスの中で寝てしまったらどうしよう。それこそもったいない。などと考えていたら急にお腹が空いてきた。
でも空腹には勝てず、やはり眼を覚ました娘とクラッカーを食べてしまった。
ところで昨夜の空港前の道路では、車が重なるように止まっていて思うように動けない状態。クラクションが鳴り、警察官?のような人が注意をしているのに皆知らん顔・・・いかにもイタリアぽい?と妙に感心した。
南イタリアたび日記
2005/12/15 (木)
(1日目)
<出発> 成田〜アムステルダム〜ローマ