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南イタリアたび日記

2005/12/17(土)
   (3日目)
 その3

<マテーラ・サッシ>

マテーラは凝灰岩と石灰岩の塊の町で、そこに造られたサッシ(洞窟住居)はすごい迫力だった!

洞窟住居というから、単独の洞穴のようなものを想像していたのだが全く違った。

何と表現したら良いのだろう・・・適した言葉が見つからないほどの景観で、特にグラヴィーナ渓谷の崖縁や、その斜面にあるサッシや教会を見下ろすと、遠い昔にタイムスリップしてしまいそうだ。

石器時代に住居として使われていたという“穴”も残っていて、ここで映画「パッション」の撮影が行われたというのもうなずける。

岩を掘り込み造られたその“家”には1956年までは約3000人が住んでいたが、当時の文明から取り残された貧しい人々の住まいだったそうだ。

もちろん今は電気やガスもあり、ところどころには車が停められていて住人が居る様子がうかがえる。またサッシホテルもあるから、観光の町に変身中なのかもしれない。

それにしても岩の町だから、グラヴィーナ川沿い以外では木々がほとんど見られない。

何かもの寂しく空虚な感じがするのは、そのせいなのだろうか。

 

町の一番高いところには、13世紀に建てられたサンタ・マリア大聖堂があり、サッソヴァリサーノ(裕福な地区)とサッソカヴェオーノ(貧困地区)とを分けている。

大聖堂の壁には人生を現すというバラ窓があり、幼いキリストを抱くマリア像や、悪魔を踏みつけるミカエル像が見られた。

 またサンタ・ルチア教会は、目の聖人であるルチアさんに捧げられた教会で、12〜17世紀のフレスコ画が残っている。もちろんサッシ教会で、内壁に描かれた絵は色鮮やかな部分もあり印象的だったが、ルチアさんが聖人なったいわれに驚き、そればかりが頭にこびりついてしまった。

 ルチアさんは生涯を「イエス・キリスト」捧げる決心をしたが、ある兵士に想いを告げられ、一旦断ったものの「あなたの目が好き」と言われ、それならと自分の目をえぐりとってその兵士に与えた。それから眼の聖人になったそうだが、どうもその場面を想像してしまうと、かなりショッキングで、この話は当分忘れられそうに無い。

 

ところで、約50年前まで11人の家族が、馬と共に生活をしていたサッシ「グロッタの家」は、当時の家具調度品がそのまま残され、今にもグロッタさんが出てきそうだった。

室内は2部屋に仕切られているが広くは無く、一つだけあるベッドの反対の壁側は馬のスペースだし、この狭い空間で、どうやって11人が暮らしたのだろうか。

よく見ると奥の部屋の隅の壁には、畳2枚分ほどの小さな穴が掘ってあった。子どもはここに寄りかかって寝たのかもしれない。また、床下には雨水が流れ込むようになっていて、大切な水を確保する為の工夫がされていた。

 

水といえば、イタリアではレストランで食事の時に飲む水はもちろんのこと、トイレもほとんどが有料だ。値段は、水がレストランでは500ccで2ユーロぐらい、トイレが50セント〜1ユーロだから、回数によってはばかにならない。ちなみにユーロは値上がりをしていて145円ぐらいだった。

日本での水事情の良さに感謝すると共に、無駄にしてはいけないとつくづく思った。

 


 とにかく印象的な一日だったので少々興奮気味だが、みんな疲れたのかバスの中は早々と静かだ。その雰囲気に引き込まれいつの間にかうとうとしてしたら、途中でものすごい音がぼんやりと聞こえた。寝ぼけた頭でも雨が降っていることは解り、それもかなり強い雨だな・・・と思いながら再び眠りに・・・。

Mさんによると、マテーラを出発した後天気が急変し、かなりの大雨と強風で、おまけに霧が出ていたそうだ。バスの中で本当に良かった。

<本日のバスでの移動距離 約320km>