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早春のロマンティックドイツ  2008   その3 
〜憧れのノイシュヴァンシュタイン城へ〜
森の中をアウトバーンがつき抜け、バスはドイツアルプス方面へと走った。3日目はいよいよ今回の旅の一番のハイライト、ノイシュヴァンシュタイン城へ向かう。

ミュンヘンを出発して1時間ほど経った頃急に山が見えてきた。ドイツで初めて目にする山並みで頂にはまだたくさんの雪が残っている。広大な牧草地のところどころにもほんの少し残雪があった。

ドイツアルプス独特の住宅シャーレーは、南側にバルコニーがあり壁には絵が描かれていてとても素敵だ。けれどバスは走っているので写真は取れない・・・残念。

1845年に生まれ19才でバイエルン王になり、中世への憧れを募らせたルートヴィヒ2世。彼はノイシュヴァンシュタイン城を始め次々と築城を手がけるが、完成したのは二番目に建て始めた一番小さな城・リンダーホーフ城だけだったとのこと。

建築に17年の歳月をかけたノイシュヴァンシュタイン城は、王の突然の死でいまだ未完成。その歴史が割合に浅いことを恥ずかしながら知らなかった。

近すぎると全容が見えないのは当たり前だ。まず城の全景を見るために、城より高い位置にあるマリエン橋に向かう。

1000mの岩山の上に華麗な姿がそそり立ち、いまにも窓辺でシンデレラが手を振りそうだが、まず城をのせている岩山のけわしさにビックリした。その様があまりにも荒々しいので城の優雅さがさらに引き立つという感じ。まさにメルヘンの世界そのものが目の前に広がっている。

せっかく期待していたのに城内の見学はところてん式。入場制限があり、ようやく入れたと思ったら各部屋の説明アナウンスにそって移動しなければならない。写真撮影も禁止で少々残念だが、後世に良い状態を残す為には仕方がないのだろう。

夢が凝縮されたような、各部屋の調度品やフレスコ画はさすがに素晴らしく、特に寝室の天蓋の彫刻が目を引いた。14人の職人が4年半の月日をかけ製作したというからすごい。

王座の間は吹き抜けになっていて、壁画もシャンデリアも贅沢なのに、肝心な王座が完成する前に王がこの世を去り未完成。その空間が物悲しくもある。

システムキッチンの先駆けともいえる台所には、オーブンや料理運搬用のエレベータなどがあるから、当時としてはかなり最新式。築城にはメルヘンを追求するだけでなく、機能性も重視していたらしい。ここは城の中で唯一撮影が許されていた。

ルートヴィヒ2世がメルヘン王とも言われた要因は、少年時代を過ごした同じアルプス山麓の城にあり、ここで中世への憧れを強めたようだ。外観がクリーム色のその姿には、ノイシュヴァンシュタイン城とはまた違う美しさだ。

築城熱が国の財政を圧迫し、最後は精神を病んでいるという理由で軟禁状態に追い込まれ、41才で謎の死に至ったルートヴィヒ2世は、その完成を見られなかっただけでなく、この城にたったの172日間しか滞在できなかったとの事。一人の人間として考えれば気の毒な結末で、築城は彼にとって何のため?などと考えてしまう。

ただ、現在のドイツにとってなくてはならない観光資源になっているのは確かだ。果たして彼は、現在のノイシュヴァンシュタイン城の人気ぶりを予想していたのだろうか。
〜ミュンヘンぶらり〜
あっという間にドイツでの最終日だ。
格安ツアーなのに、直行便で帰国という幸運に恵まれ、4日目午前中はフリータイムのおまけ付き。
喜び勇んで、娘とホテルから10分ほど歩いて地下鉄に乗った。昨日、ノイシュヴァインシュタイン城の帰りに立ち寄った、ミュンヘンでの探検第二弾だ。

新市庁舎の仕掛け時計を見るためには、11時にマリエン広場へ戻らなければいけないので、先にイザール川のあたりまで足を延ばすことにした。

すっきりした青空が広がりお日様の力は偉大。一生懸命歩くと少し汗ばむほどで、昨日までとは全く違う気候だ。

日曜日の朝はのんびりなのか、昨日の夕方と違って、まだあまり人通りがない。

一斉に鳴り響く教会の鐘は、それぞれの違う音色が反響し合い、とても心地良かった。
そういえば、今回の旅で“音”を意識したのはこれが初めてかもしれない。日本に比べ、都会も郊外も静かだと感じるのは私だけだろうか。最近の日本は、どこにいても音が氾濫しているので、尚そう思うのかもしれないが・・・。


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イザール川はゆったりと流れ、川沿いの公園で寛ぐ人や自転車に乗った家族連れなどがチラホラ。歩いて10分ほどなのに、もう郊外のような雰囲気だ。

その景色に心が和み、私たちものんびりと散歩を楽しんだが、気がついたら11時が迫っていた。
大変だ!急がないと集合時間にも遅れてしまう。
広場には仕掛け時計がお目当ての、大勢の人が集まっていて私たちも駆け込みセーフ!

「日曜日は店が休みですよ」との添乗員さんの言葉どおり、昨日あれほど賑やかだったほとんどの店がものの見事に扉を閉めている。唯一マクドナルドやバーガーキング、マリエン広場のパン屋さんなどが開いていたので無事ランチをゲット。

それにしても日曜日にデパートやスーパーはもちろん、個々の店も一斉に休むという光景には驚きを感じる。
24時間営業で年中無休や、遅くまで開いている店が増え、それが当たり前になり、昼と夜の区別がつかなくなってしまったのはいつ頃からだろう。一斉に休むということは家族が一緒にいられる時間もたくさんあるということ・・・大切なことなのに、便利さ第一の日本には真似が出来そうもないから羨ましい。

風景や建造物などを観るのは旅の一番の目的だが、その国(土地)の風習や生活ぶりなどを垣間見ることも楽しいし勉強になる。

規則を守りよく働き真面目など、ドイツ人の国民性は日本人と似ているようだ。またドイツは職人の国ともいわれ、とにかく物が丈夫だそう。例えば車も頑丈なら信号も負けず、万が一衝突してもビクともしないらしい。

ウエイターさんもとっても親切だったし、今までのWドイツ=固くてちょっとこわめ?”のイメージか消え去った旅となった。
「百聞は一見に如かず」 ダンケシェーン!ドイツ