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経典の種類

経典の種類

経典は、内容別に3つに分類され、また教義別にも3つに分類されます

内容別に分類
三蔵

釈迦の教えをまとめたもの

仏教徒の行動規範(戒律)

経や律を研究してまとめたり、注釈をつけたもの

教義別に分類
小乗経典

釈迦が直接弟子に説いた教え。原始仏教経典ともいう。『阿含経』など

大乗経典

在家信者へも釈迦の教えをとくために作られた経典。『般若心経』『華厳経』『法華経』など

密教経典

密教の奥義を説いたもの(大乗経典に含まれる)。『大日経』『金剛頂経』など

▲『西遊記』で登場する玄奘三蔵法師の三蔵は、この三蔵を知り尽くした高僧の敬称

▲大乗(仏教)、小乗(仏教)については、仏教の軌跡 参照

各経典の概要

般若心経
概要

正式名を「摩訶般若波羅蜜多心経」または「般若波羅蜜多心経」といいます。「般若」とは智慧を、「波羅蜜多」とは「智慧で彼岸に渡る(さとりを開く)」ことを意味し、「すべての人々を彼岸へ渡らせる」と説いた大乗仏教をはじめて宣言した経典です。
日本で一般的にいう「般若心経」は玄奘訳のもので、玄奘が訳した全600巻から成る「大般若経」の中から、そのエッセンスを簡潔にまとめたものです。ほかに般若訳、鳩摩羅什訳、法月訳、法咸訳など七種の訳本があります。 推古天皇の時代の609年にもたらされたサンスクリット語の般若心経が、日本最古のものとして法隆寺に残っています。

宗派

天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗

教え

色即是空、空即是色」の一節で有名で、深遠なる「空」の境地を説いたものです。
それまで小乗仏教がこだわり、説いてきた煩悩克服の教えに対して、「一切こだわるな」と教えています。煩悩を克服しようと執着する心を捨て、こだわりのない心を持ったなら、おのずと「空」の境地が開けてくる。これこそが真理であり、一切の苦しみから解き放たれる道であると教えています。
小乗仏教の教えの対極にあって、しかも出家僧だけでなく、全ての人々に向かって説かれたことから、革新的な経典であり、大乗仏教の根本経典となっています。


阿含経
概要

数千におよぶ経典の総称で、「長阿含経」「中阿含経」「雑阿含経」「別訳雑阿含経」「増一阿含経」などがあります。

教え 羅漢

「長阿含経」には、須弥山と呼ばれる仏教の世界観が描かれています。




法華経
概要

代表的な大乗経典で、正式名は「妙法蓮華経」、日本で最初に講じたのは聖徳太子です。
漢訳では、鳩摩羅什の訳のものが最も多く用いられました。全八巻二十八品からなり、大きく分けて「迹門」と「本門」の二つに分けられ、さらに序文・正宗分・流通分の三部に分けて解釈されることから二門六段といいます。「迹門」は釈迦が久遠(永遠不滅)の仏であるという実体を明らかにする以前の教えで、「本門」は釈迦が久遠の仏であることを教え、この教えを信じ、実践する者に至福への道が明らかにされています。

宗派

天台宗、日蓮宗

教え

「方便品」(ほうべんぽん)
あらゆる事物の成り立ちについて、縁起の法則を詳しく述べ、だがこれさえも、究極の真理ではなく、人々を救いに導く方便(手段)であるとしています。
「自我偈」(じがげ)
釈迦の「久遠の成仏」を説いたものとして、「法華経」の真髄とされる如来寿量品第十六のなかでも特に重要な部分です。
「観音経」
観世音菩薩の名前を唱えるだけで、どんな災厄からも救われるという現世利益を説いています。もとは単独の経典でしたが、後に法華経に組み入れられました。


華厳経
概要

法を説く「法華経」に対して「華厳経」は仏を説いたお経で、華厳宗の根本経典です。

宗派

華厳宗

教え

毘盧遮那仏について書かれた経典で、釈迦が菩提樹の下でさとりを開いたときの、そのままの境地を説いたものとして非常に尊重されています。


無量寿経
(浄土三部経)
概要

序・本論・結語の三部四章からなり、経が長いことから「大経」とも呼ばれます。

宗派

浄土宗、浄土真宗、時宗

教え

法蔵菩薩が一切衆生を救済するため仏陀となることを志し、その本願(誓い)として四十八願をたてます。長い修行をへて、すべての誓願を成就させた法蔵菩薩は阿弥陀如来となり、荘厳なる西方極楽浄土が出現します。そして極楽往生を願う人々に称名念仏を説いています。


観無量寿経
(浄土三部経)
概要

略して「観経」とも呼ばれます。

宗派

浄土宗、浄土真宗、時宗、天台宗

教え

ドラマチックな王位継承をめぐる骨肉の争いをベースにして、極楽往生するための具体的、実践的な方法論を詳しく説いています。


阿弥陀経
(浄土三部経)
概要

浄土三部教のなかでもっとも短いため、「小無量寿経」「小経」とも呼ばれます。現在、浄土系各宗派の法事などでよく読誦される経典です。簡潔、コンパクトにまとめてあります。

宗派

浄土宗、浄土真宗、時宗

教え

極楽浄土の荘厳な様子や、極楽浄土へ往生する方法を説いています。


大日経
概要

正式には「大毘盧遮那成仏神変加持経」といい、正純密教成立以前の呪術的儀礼、瞑想法などを仏教思想のなかに取り込み、成仏のために行法として位置づけ、体系化した最初の経典です。

宗派

真言宗

教え

宇宙の真理を体現する法身仏である大日如来が、菩薩の代表である金剛薩たの質問に答えるという形式で書かれています。全七巻のうち第一巻は「悟りという仏の智恵とは何か」について語る理論編で、第二巻以降では、胎蔵曼荼羅の描き方など密教の儀礼が解説される実践編になっています。


金剛頂経
概要

一般的には「金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経」三巻のことを指します。「金剛頂経」は智恵の世界、金剛界を明らかにしています。

宗派

真言宗、天台宗

教え

大日如来が一切義成就菩薩(釈迦)の質問に対して、悟りの内容とその悟りを得るための方法を説明するという形式で書かれ、全体が非常に実践的にできており、これが「金剛頂経」の大きな特徴となっています。

維摩経

初期の大乗経典の代表作です。
維摩という東インドの商都の人物を設定し、病気になった維摩と、釈尊の指示で彼を見舞う文殊菩薩との問答が戯曲的に書かれています。


勝鬘経

中期の大乗仏教のなかで如来蔵思想(全ての衆生が仏となる可能性がある)を説く代表的な経典であり、王妃という在家の女性を主人公とする経典として知られています。

法句経

仏教聖典のなかで最も親しまれているものの一つで、「人生の指針となるような言葉」という意味で、釈尊のすべての教えのなかから、人生の指針を集めたものです。「経集」と同じく最古の経典といわれています。
釈迦が平易な言葉とわかりやすい比喩をまじえて、悟りを得るための実践方法を説いています。釈迦の実体験をもとに語られており、理論ではない真実の教えを知ることができます。


経集
羅漢

仏教聖典のなかで最も古くから成立したもので、釈迦の言葉にもっとも近い詩句の集成となっています。きわめて素朴で、「現代に生きる釈尊言行録」の性格を帯びています。釈迦の言葉が、より原形の近い形で記されており、釈迦の教えを学ぶにあたっては、決してはずしてはならない重要な経典です。


正信念仏偈
(正信偈)

親鸞聖人の著書「教行信証」の最後に出てくるもので、「教行信証」のエッセンスともいわれます。蓮如は、この「正信偈」を和讃とともに印刷して門徒にひろめ、日常の拝読用に制定しました。阿弥陀仏のみ心と釈尊の教えが示されたもの(依経段)と、三国の七高僧に関するもの(依釈段)とに分かれます。前半部分は、「無量寿経」に説かれている阿弥陀仏の本願、つまり、人々をひとり残らず救うということを信じて、念仏を唱えることがどんなに素晴らしく、広大な教えかを宣言しています。後半部分では、この教えを伝承したインド、中国、日本の高僧の功績を取り上げ、そのひとつひとつを讃えています。


修証義

正しくは「曹洞教会修証義」といいます。修は修行、証は悟り、義は意義を表します。在家信者と僧侶のための「曹洞宗教化の標準書」と呼ばれ、法要・葬儀・施食会などで読経されます。人間に生まれたこと、仏の教えに出会えたことを尊いものだと知ること、自分の罪を懺悔すること(懺悔滅罪)、戒めを受けて菩提心を起こすこと(受戒入位)、貪りを捨てて人のために尽くし、他人の喜びを自分の喜びとすること(発願利生)、そして仏の恩に報いること(行持報恩)を説いています。


大悲心陀羅尼
(大悲咒)

「千手千限観自在菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経」のなかに含まれている長い陀羅尼を独立させたもので、正しくは「千手千限観自在菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼」といいます。真言宗や禅宗で古くから重用され、さかんに読誦されたお経の一つで、観世音菩薩の内証の功徳を説いた根本咒です。特に観世音菩薩を本尊とする臨済宗では重要なものとされ、朝課、晩課、祖師忌、在家亡者回向に読誦されています。千手千眼観音が、一切の衆生を苦悩から救済する誓願功徳は、自由自

在で広大であるということを讃えています。

白隠禅師坐禅和讃

臨済宗中興の祖、白隠が著した名作で、禅の原理を説いています。涅槃経の「一切衆生悉有仏性」をもとにして、すべての衆生は生まれながら仏性をそなえているという、大乗仏教の基本を説き、氷のように固まったこだわりを溶かしてしまえば無我となり、融通無碍の自己の姿がそのまま仏であると教えています。

理趣経

「金剛頂経」十八会のなかの第六会の経典で、「大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品」というのが正式名です。真言宗で日々読誦されています。仏の境界から見ると、人間の生命活動は金剛のごとく堅固であり、空しくないとされるが、これをさらに「大楽」(絶対の安楽の境地)としました。さらに、煩悩を正面から救い、煩悩を否定することなく、人間はありのままの姿から即身成仏できるという考え方を説いています。

円頓章

天台智の述作である「摩訶止観」の真髄を、わずか133文字の短文にまとめたもので、天台宗ではお経と同様に唱えられています。円頓とは、人々が初めて仏道を志す心である初発心がそのまま究竟(実相)にいたる縁になっていることで、初発心から存在するすべてのものが、相依相関の縁起というかかわりであるがままに存在していることを、宗教的認識によってみずから観法していくことを説いています。


四十二章経
羅漢

釈尊が「修行の道も、やり過ぎても疲れるだけで、かえって心悩む結果となる。ほどほど「中」が何より大切である」と説いた「中道」の一節で知られています。

涅槃経

原始経典の「小乗涅槃経」と、大乗経典の「大乗涅槃経」とに大別されますが、いずれも正式名は「大般涅槃経」です。
「小乗涅槃経」
小乗仏教の教えである「この世の執着を断ち、煩悩を捨て去ること」がどんなに重要かを説いています。
「大乗涅槃経」
釈迦の涅槃(入滅)は、あくまでも仏の教えを説くための方便として説かれています。釈迦は何度も何度も生まれ変わり、いつの時代でもどこにでもいて、常に人々を導いてくれる、尊くありがたい存在であることを説いています。さらに「一切衆生悉有仏性」(全ての衆生は仏となる可能性がある)を主張しています。


弥勒経

弥勒六部経を総称して「弥勒経」と呼びます。
「弥勒上生経」では、弥勒菩薩が12年後に命終して兜率天宮に生まれ、56億万年の間、諸天を教化し、昼夜6時に説法することを明らかにしています。


金光明経

聖武天皇の時代に護国経典として全国に頒布され、この経典に基づいて全国に国分寺の建立を発願されたと伝えられています。

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