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仏像の基本形

姿勢印相持物光背台座衣・装身具

姿勢

  • 基本的に立像(りゅうぞう)、坐像(ざぞう)、臥像(がぞう)の3種類があります

  • 立像・坐像はその名のとおり、立っている姿、座っている姿を表します

  • 坐像には、特にいろいろな種類があります。台に座ったものを通称倚坐(いざ)といいます

  • 臥像は釈迦の涅槃(ねはん=死)の様子を表したもので、横に寝そべっているものです

<坐像の一例>
善跏倚坐
(ぜんかいざ)
善跏倚坐
両足を揃えて踏み下げて台に座る
半跏倚坐
(はんかいざ)
半跏倚坐
右足を曲げて左膝の上にのせて台に座る(→菩薩のみに見られる)

輪王坐
(りんのうざ)
輪王坐
片ひざを立てる
吉祥坐
(きっしょうざ)
結跏趺坐(吉祥坐)
左足を右足の太股に、右足を左足に密着させる。
降魔坐
(ごうまざ)
結跏趺坐(降魔坐)
吉祥坐の逆
半跏趺坐
(はんかふざ)
半跏趺坐
片足だけを反対側の太股につける
↑上の二つは通称、結跏趺坐
(けっかふざ=座禅の坐法)
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印相

  • 手の形や組み方を印相(いんぞう)といいます

  • 数多の種類がありますが、これを見ただけで仏の種類やご利益がわかるものもあります

  • 特に密教では、教理そのものを表し重要な意味を持っています

釈迦の五印
釈迦のある特定の行為に伴う身振り・手振りから生まれたものといわれています
降魔印
(ごうまいん)
降魔印
釈迦が悟りを開いた後、悪魔を追い払ったときのポーズ。金剛界の阿閃如来もこの印相をとる
転法輪印(説法印)
(てんぽうりんいん
(せっぽういん))

転法輪印(説法印)
釈迦が説法したときのポーズ
禅定印(法界定印)
(ぜんじょういん)
禅定印(法界定印)
釈迦が悟りを開いたときのポーズで、心の安定を表す。
法界定印は胎蔵界の大日如来での呼びかた
施無畏印
(せむいいん)

説法を聞く人の緊張を和らげるポーズ
施無畏印/与願印 与願印
(よがんいん)

仏の深い慈悲を表す

九品来迎印>( くぽんらいごういん)
阿弥陀如来特有の印相。阿弥陀如来は極楽浄土にから迎えにくる際、人間の能力や信仰の程度によって、九つの段階に分け、その人にふさわしい印を表します。「上品」「下品」というのはこの印相の名前に由来しています
九品来迎印
上品上生
九品来迎印
上品中生
(中品上生)
九品来迎印
上品下生
(下品上生)
九品来迎印
中品上生
(上品中生)
九品来迎印
中品中生
九品来迎印
中品下生
(下品中生)
九品来迎印
下品上生
(上品下生)
九品来迎印
下品中生
(中品下生)
九品来迎印
下品下生
( ↑ 二通りの解釈があります)
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持物

  • 仏像が手にもっているものを持物(じぶつ)といいます。これも仏像によって様々で、それぞれに意味があります。持物により仏像の種類を見分けるキーポイントにもなります

  • 代表的なものが蓮華(れんげ=蓮の花)です。泥の中から生じても泥に染まらずに清らかさを保つことから、汚れることのない仏の真理(智慧)に例えられます


<持物の一例>
宝剣
(ほうけん)
宝剣
不動明王などの明王、天が持つ、煩悩を断ち切る智慧の刀
錫杖
(しゃくじょう)
錫杖
地蔵菩薩が六道をめぐる象徴として携帯する
薬壺
(やっこ)
薬壺
薬師如来が持つ薬の入ったつぼ
宝珠
(ほうじゅ)
宝珠
地蔵菩薩や吉祥天などが持ち、財宝をもたらしたり、災いを除くとされる
金剛杵
(独鈷杵)

(こんごうしょう
(とつこしょ))

金剛杵(独鈷杵)
明王や天が持ち、煩悩を打ち破るとされる=の数で名前が変わる
水瓶
(すいびょう)
水瓶
汚れを払う霊水が入っているとされ、菩薩が持つ
羂索
羂索
これを投げて衆生をもれなく救う。不動明王、千手観音、不空羂索観音などが持つ
蓮華
(れんげ)
蓮華
煩悩に汚されない清らかさを示し、観音菩薩の象徴となっている
金剛杵
(三鈷杵)

(こんごうしょう
(さんこしょ))

金剛杵(三鈷杵)
羯磨
(かつま)
羯磨
明王などが持つ武器で、智の象徴とされる
宝塔
(ほうとう)
宝塔
多聞天や毘沙門天が持つ、仏舎利(釈迦の遺骨)を納めた塔
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光背

  • 如来や菩薩は体から偉大な智慧の光を放つといわれています

  • この光は隅々にまで届き、一切衆生(あらゆる生物)を救うと考えられています。これを「後光」といい、よく「後光が差す」というような表現をします

  • また、この光は三十二相(→如来の部参照)のひとつ「丈光相(じょうこうそう)」とよばれています。この偉大な光を造形的に表したものが光背です。これにもいろいろな種類があります

  • 光背を大きく分けると、挙身光(きょしんこう)と頭光(ずこう)があります。挙身光は仏像の全身から放たれる光で背後に表され、頭光は頭から発する光で頭上に表されます


<光背の一例>
輪光
(りんこう)
輪光
円形の輪で表す
任生光
(みぶこう)
任生光
像の部分を椅子の背もたれのような形に作り、その上に二重の円光を付け、その中心からいくすじかの放射光を表現する
宝珠光
(ほうじゅこう)
宝珠光
如意宝珠を表す。
飛鳥時代に流行
火焔光
(かえんこう)
火焔光
燃え盛る炎を表す
舟形光背
(ふながたこうはい)
舟形光背
仏像の全体を覆うように、通常は一枚の蓮華の花をかたどっている
二重円光
(にじゅうえんこう)
二重円光
放射光
(ほうしゃこう)
放射光
放射状の光を表現する
円光
(えんこう)
円光
一枚の円形の板で表し、ガンダーラなどの初期仏像に多く見られる
飛天光
(ひてんこう)
飛天光
周囲や表面に飛び交う天女を表現している
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台座

  • もともとは釈迦の居場所を表すものでしたが、後に仏像に威厳と安定感を与えるものとして重要な役割を果たすようになりました

  • 台座にも様々な種類があります。 代表的なものには蓮華座があり、文字通り蓮の花の形をしています


<台座の一例>
雲座
(うんざ)
雲座
雲の上に蓮華をのせたもので、主に飛天、阿弥陀如来に見られる
蓮華座
(れんげざ)
蓮華座
東大寺大仏が基本形とされ、大仏座とも呼ばれる。
蓮の花は清らかなるものとされ、如来や菩薩が乗っている
宣字座
(須弥座)

(せんじざ(しゅみざ))
宣字座
如来が乗る台座で、仏教世界の中心である須弥山をかたちどっている
荷葉座
(かようざ)
荷葉座
梵天、帝釈天、吉祥天などが乗り、岩座の上に蓮の葉を伏せておいた形が一般的
岩座
(いわざ)

岩座
一般的に天部像が乗り、岩の上に邪鬼がいて天がそれを踏みつけている像が多くある
瑟瑟座
(しつしつざ)
瑟瑟座
不動明王などに見られる、木を組み合わせたもの
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衣・装身具

  • 菩薩の着衣は釈迦の出家前の姿を基本としています。明王も基本的には同様です


<衣・装身具の一例> (その他各部の名称も併せて表記します)
如来の衣
阿弥陀如来
菩薩の衣・装身具
十一面観音菩薩
天部の衣・装身具
持国天
明王の衣・装身具
不動明王
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