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宗派 |
主な宗派を以下に整理しました。各宗派はさらにいくつかの宗派に分類される場合がありますが、ここでは主要な宗派のみを掲載します。また一部の宗派では解釈の違いから、表現が適切でない場合もありますが、ここでは一般的な説明を記載していますのでご了承ください。
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系統に関する説明 |
密教と顕教 | ||||||
日本へ伝えられた大乗仏教とは、「仏の教えを普遍的な真理として、最初に最高の真理としての仏があり、時間的、空間的な世界の中に無数の仏が存在する」という教えで、この無数の仏は下記の三つに分類されます
密教と顕教の違いは、法身仏の解釈の違いにあります。毘盧舎那如来は、自らは説法をせず、衆生を救うには自らの代理としての無数の説法する仏を宇宙のあらゆるところに派遣します。これに対し大日如来は、直接衆生に対して真理を説きます。ただし大日如来の教えは象徴的表現が多く難解で、特別に修行を積んだ人間だけが理解でき、一般の者には知ることのできない秘密の教え(=密教)とされています。 密教は、金胎両部の「大日経」「金剛頂経」などがその代表聖典です。日本へは平安時代に最澄・空海によって中国から伝えらました。最澄の法系を台密、空海の法系を東密と言います。また、台密では一乗に対する三乗を顕教といい、東密では釈迦の説いた教えを顕教というのに対して言う場合もあります。 顕教は、難解な密教に対して、顕(あら)わにわかりやすく説き示した教えで、密教以外の一般仏教をさします。 また、天台宗には、密教と顕教があります。 |
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自力(本願) と他力本願 | ||||||
自力とは、自分の力によって修行をして、仏の悟りをひらいてゆくのを建て前とする宗派。 浄土系以外の天台・真言・禅などの諸宗が該当します。他力本願とは、自己の修行の功徳によって悟りを得るのでなく、もっぱら阿弥陀仏の本願によって救済されることをいいます(日蓮宗は解釈が異なります) |
宗派に関する説明 |
開祖の( )は、生年-没年、出生地 |
日本天台宗 | |
開祖 | 伝教大師最澄(767-822、近江) |
開宗への道 | 804年遣唐使として唐に渡り、天台山にて天台を学び、越州興竜寺の順暁から真言密教を学び、805年帰国。「法華経」を基盤とした円(天台)と禅、戒、密教を学び四宗融合させ、比叡山に道場を開き、理論面、実践面を統合して体系を完成させました |
宗旨 | 一切皆成(いっさいかいじょう) 全ての衆生(=あらゆる生き物)は成仏できる |
経典 | 法華経(=妙法連華経)が根本経典、仁王般若経、金剛頂経、観無量寿経など |
補足 | 最澄は、僧の養成のための規定「山家学生式」を著し、大乗戒壇(僧の資格を得る受戒の場)の設立に尽力しました。比叡山は後に日本仏教の母山(鎌倉新仏教の宗祖がいずれもここで学ぶ(一遍を除く)) と呼ばれるようになりました |
主な分派 | 聖観音宗(浅草寺)、天台寺門宗(園城寺)など |
主な寺院 | 延暦寺(総本山)、日光輪王寺、三千院、寛永寺、中尊寺(東北大本山)、四天王寺など |
本尊 | 釈迦如来。阿弥陀如来、薬師如来、大日如来、不動明王などもありますが、釈迦如来の化身として解釈されます |
真言宗 | |||||
開祖 | 弘法大師空海(774-835、讃岐) | ||||
開宗への道 | 804年遣唐使として唐に渡り、長安で青竜寺の恵果から密教を授けられ806年帰国。京都高雄山神護寺で布教活動を行い、816年高野山を賜り金剛峯寺を建立、823年東寺(教王護国寺)を賜り、この二寺を根本道場として開宗しました | ||||
宗旨 | 即身成仏(そくしんじょうぶつ) 法身仏(ほっしんぶつ)である大日如来と一体となって修行すれば(加持祈祷)、生身のままで仏になれる |
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経典 | 大日経、金剛頂経が根本経典。これに蘇悉地経を加えて三部秘経といいます。 | ||||
補足 | 真言宗は、金剛界と胎蔵界の二つの宇宙観をうち立てました
空海は密教を理論的、実践的な面から新しい仏教として確立。国家鎮護のため密教の布教に努めるとともに、一般民衆の救済を念じて全国を巡りました。空海の密教思想は法然、親鸞、道元などの鎌倉新仏教の宗祖にも多大な影響を与えたとされています。 また空海は、大学(綜芸種智院)や貯水池(万農池)を建設するなど、社会的にも貢献しました。書にも優れ三筆(空海、嵯峨天皇、橘逸勢)の一人といわれます |
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主な分派 | 高野山真言宗、高野山東寺派、真言宗智山派、真言宗豊山派など | ||||
主な寺院 | 金剛峯寺、教王護国寺、智積院、長谷寺(以上いずれも総本山)、仁和寺、成田山新勝寺、高尾山薬王院など | ||||
本尊 | 大日如来。阿弥陀如来、薬師如来、観音菩薩、文殊菩薩などもありすが、大日如来の化身と解釈されています |
浄土宗 | |
開祖 | 法然(1133〜1212、美作) |
開宗への道 | 13歳で比叡山に入り天台を学んだ後、中国僧善導の「観経疏」を読んで専修念仏の布教を開始しました。大原問答によってその名声を高め、「選択本願念仏集」を書いて開宗しました |
宗旨 | 専修念仏 出家者でなくても「南無阿弥陀仏」を唱えるだけで極楽浄土に往生できる |
経典 | 無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経 |
補足 | 戒律や造寺造仏の不要を主張しました |
主な分派 | 捨世派、西山禅林寺派、西山深草派、西山浄土宗など |
主な寺院 | 知恩院(総本山)、一心院、禅林寺、誓願寺、光明寺、増上寺、善光寺など |
本尊 | 阿弥陀如来 |
浄土真宗 | |
開祖 | 親鸞(1173〜1262、京都) |
開宗への道 | 9歳で比叡山に入り20年間修行し、29歳のときに法然の門にはいり、専修念仏の布教を行いました。布教が禁止され越後に流されましたが、許された後は主に関東地方で布教活動を再開しました |
宗旨 | 阿弥陀仏への信心のみで往生できる |
経典 | 無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経、教行信証(親鸞著) |
補足 | 僧は妻帯を許されました。 また、 「歎異抄」の悪人正機説は、煩悩を持つ人間、罪人でも浄土での往生が可能であることを説きました。 「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや・・・・」 |
主な分派 | 本願寺派(西本願寺)、大谷派(東本願寺)、高田派(専修寺)、仏光寺派(仏光寺)、興正派(興正寺)、木辺派(錦織寺)、三門徒派(専照寺)、山元派(證誠寺)、誠照寺派(誠照寺)、出雲路派(毫摂寺) |
主な寺院 | 上記の他に、願入寺、淨興寺、浄光寺など |
本尊 | 阿弥陀如来 |
時宗 | |
開祖 | 一遍(1239〜1289、伊予) |
開宗への道 | 10歳で浄土宗西山派の門に入り、南無阿弥陀仏を唱えて全国を遊行し、空也上人の踊念仏を受け継ぎました |
宗旨 | 信仰の有無を問わず、「南無阿弥陀仏」を唱えれば往生できる |
経典 | 大無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経 |
補足 | 神道信仰を利用して教化するのが特色で、中世末期、武士・庶民に広く信仰されました |
主な分派 | - |
主な寺院 | 清浄光寺(総本山)、無量光寺、日輪寺 |
本尊 | 阿弥陀如来 |
日本臨済宗 | |
開祖 | 栄西(1141〜1215、備中) |
開宗への道 | 14歳で比叡山に入り天台を学び、2度宋に渡り天台山で禅を学びました。博多に日本初の禅寺である聖福寺、鎌倉に寿福寺、京都に建仁寺を開き、禅宗の布教を行いました |
宗旨 | 人間の生まれながらの仏性を座禅によって見出し、自己の宗教的人格を完成してゆく |
経典 | 特定の経典はない。大般若波羅密多経、金剛般若経、般若心経など |
補足 | 布教活動のほか、宋から茶の種を移入して栽培しました |
主な分派 | 建仁寺派、建長寺派、円覚寺派、東福寺派、南禅寺派、天竜寺派、大徳寺派、妙心寺派、永源寺派 |
主な寺院 | 上記各寺院、他 |
本尊 | 特定していません。釈迦如来、薬師如来、観音菩薩、文殊菩薩など |
日本曹洞宗 | |
開祖 | 道元(1200〜1253、京都) |
開宗への道 | 比叡山および三井寺で学び、のち建仁寺の栄西に弟子入りして禅を修めました。その後宋に渡り、曹洞禅を学びました。1234年興聖寺を創建、1244年には永平寺を開山しました。「正法眼蔵」を著し、日本曹洞宗の布教活動を開始しました。「正法眼蔵」は日本最高の哲学書とされています |
宗旨 | ひたすら座禅ををすること、座禅の姿が仏であることを信じることで悟りを開くことができる |
経典 | 正法眼蔵から 抜粋した「修証義」、法華経、大悲心陀羅尼、般若心経など |
補足 | 座禅のほかに、懺悔滅罪、受戒入位、発願利生、行持報恩などの修行を積むこと、そのことに命をかけることも説いています |
主な分派 | - |
主な寺院 | 永平寺、総持寺(以上いずれも大本山) |
本尊 | 特定していませんが、釈迦如来の場合が多い |
黄檗宗 | |
開祖 | 隠元(1592-1673、中国) |
開宗への道 | 1654年明から来日し、徳川家綱により土地を賜り黄檗山万福寺を創建して開宗しました |
宗旨 | 人間の生まれながらの仏性を、座禅により自らの力で見出し、悟りの境地に到達させる |
経典 | - |
補足 | 臨済禅に、念仏などの浄土教、さらに真言などの密教的要素も加味した教えです |
主な分派 | - |
主な寺院 | 万福寺(大本山)、崇福寺 |
本尊 | 釈迦如来 |
日蓮宗 | |
開祖 | 日蓮(1222〜1282、安房) |
開宗への道 | 16歳で出家し比叡山ほか各地で修行し、安房清澄寺で布教を開始し、辻説法などを行いました |
宗旨 | 題目(南無妙法蓮華経)を唱えるだけで皆成仏できると説きました |
経典 | 法華経 |
補足 | 他宗を激しく批判し、また布教活動が活発なため、新宗教が次々と 派生しました。 「立正安国論」を著す |
主な分派 | 法華宗、日蓮正宗など多数。在家教団に創価学会、霊友会、立正佼成会など多数 |
主な寺院 | 久遠寺(総本山)、本門寺、誕生寺、本覚寺、本能寺、妙法寺、妙見寺など |
本尊 | 釈迦如来、大曼荼羅など |
南都六宗(奈良仏教、学問の宗派) | |
律宗 | 道宣(中国唐、596-667)により開宗され、日本へは鑑真によって伝えられました。戒律を実践することが仏陀への道であることを教えています。総本山は唐招提寺。鎌倉時代には、叡尊(えいぞん)が四分律と真言密教を併修し、真言律宗として独立し、西大寺を本山としました。 |
華厳宗 | 杜順(中国唐、557-640)により開宗され、「華厳経」を経典とし、毘盧舎那仏が最高の仏として、全ての衆生を悟りに導くとされています。大本山は東大寺。 |
三論宗 | 華厳宗の寓宗(ぐうしゅう=付属宗)で、「中論」「十二門論」「百論」を学びます。 |
成実宗 | 華厳宗、三論宗の寓宗で、「成実論」を学びます。 |
法相宗 | 玄奘(中国唐、602-664、三蔵法師)が始祖で弟子の窺基(きき、628-700)を宗祖とする宗派で、自我意識と煩悩を修行によって自覚し、それを無にすることで悟りを得ようとする教えです。大本山は興福寺と薬師寺。法隆寺は後に聖徳宗として、清水寺は北法相宗としてそれぞれ独立しました。 |
倶舎宗 | 法相宗の寓宗で、「阿毘達磨倶舎論」を学びます。 |
融通念仏宗 | 良忍(良人、1072-1132)が開宗。一人の念仏があらゆる人の念仏と融通しあって浄土への往生が可能となることを説き、また一つの善行が他のあらゆる善行と融通することをも説いています。総本山は大念仏寺。 |
智積院 | 知恩院 | 建仁寺 |
総本山と大本山の違い |
始祖が造った寺院を総本山、その下に継ぐ寺院を大本山、その下に本山、その下に末寺と呼びますが、新たに別派を作って開基した場合も総本山と称する場合もあり、規定は一定していません。 ※弊サイトでは寺院の公式サイトで宣言している呼び名を紹介しています |
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