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仏像の制作技法

仏像の主な制作技法です

金銅仏(こんどうぶつ)

溶かした青銅を型に流し込んで造る鋳造像で、表面には、鍍金(ときん=金メッキ)を施します。
型には、ろう・土・木などがあり、金銅仏が最も流行した飛鳥〜天平時代はろうが主流でした。土で原型を作り、その上にろうをかけ、彫刻を施します。このろう型を土で覆って焼くと、ろうだけが溶けて、空洞ができ、そこに溶かした銅を流し込みます。冷却後に外側を壊すと彫刻が現れるというものです。
青銅以外の、金・銀・鉄仏も同様の方法で造られます。
金や銅が高価なため費用や歳月、高度な技術が必要で、奈良時代末期以降はあまり作られなくなりましたが、鎌倉時代に入り多く作られるようになりました。

乾漆像(かんしつぞう)

漆を厚く塗り固めて造ります。2種類あります。

  • 脱活乾漆(だつかつかんしつ、脱乾漆ともいう)
    粘土の型の上に麻布を漆で十数回塗り固めて、造形します。乾燥後に像を割り、なかの土を取り除いて新たに木芯を入れてふさぎます。空洞部分が多いので、軽量なのが特徴です。

  • 木心乾漆(もくしんかんしつ)
    木で原型を造った上に麻布を漆で張り固めたものです。重くてがっしりしており、作業工程も少なくて済み、また高価な漆も少なくて済むという利点があります。

日本の乾漆像の大半は7〜9世紀に集中し、その他の時代にはほとんど制作されていません。漆が高価で制作に手間がかかることが、作例の少ない理由とされています。写実的で質感表現に富むのが最大の特徴です。

塑像(そぞう)

粘土で造るものです。盛り上げて造形する技法の代表で、白鳳〜天平時代に流行、鎌倉時代に入って再び作られるようになりました。木を組んで心木を作り、縄を巻いてから土を2〜3層に分けて盛り、造形します。最後に彩色して仕上げます。
写実的表現に優れ、制作費が安いのが利点ですが、壊れやすいのが最大の欠点です。

木彫像(もくちょうぞう)

一本の木材から造る一木造と、干割れを克服した割矧造、数本の木材をを組み合わせて造る寄木造に大別されます。日本の仏像の大半は木彫像です。

  • 一木造(いちぼくづくり)
    奈良末期から平安前期に多く作られ、文字通り一本の木材のみで完成させる方法です。充分に乾かさないと、乾燥による収縮差から表面に干割れが出るのが最大の欠点です。この欠点を克服するために、内刳り(うちぐり)といって、仏像の内部を空洞化しましたが、完全に刳り抜くことは不可能で、干割れの問題は残りました。

  • 割矧造(わりはぎづくり)
    一木によりほとんど完成された像を楔(くさび)で頭上から足底までを縦に前後の二つに割り、割った断面から内刳りすることで、均一な内刳りができます。その後に木目に合わせて再度接合します。こうすると、表面の干割れを完全に止めることが可能になりました。しかし、この行為は大胆で畏れ多い手法ということもあり、次第に敬遠されてきます。

  • 寄木造(よせぎづくり)
    いくつかの木を組み合わせて完成させる方法で、干割れを完全に克服できます。合理的に巨大な像を短期間に完成させることが可能となりました。宇治平等院鳳凰堂の阿弥陀如来は定朝がこの手法を完成させた代表的な例として、あまりにも有名です。寄木造りは日本彫刻史に残る画期的なものとして評価されています。


石仏(せきぶつ)

石で造った仏像で、その場所にある岩や石に直接彫刻する場合と、切り出してきた石を彫刻する場合の2通りあります。

時代別の制作技法・材質の使われ方

●:多く作られる ○:作られる −:作られない
技法・材質 金銅仏 乾漆像 塑像 木彫(主な木材) 石仏
脱活乾漆 木心乾漆
飛鳥時代 - - - ●楠 -
奈良(白鳳時代) - -
奈良(天平時代)
平安時代前期 - - ●萱、栴檀
平安時代後期 - - - ●檜、萱、楠、桂、栴檀、桜
鎌倉時代 - - ●檜
室町時代 - - ●檜
安土桃山時代 - - - - ●檜
江戸時代 - - - ●檜

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