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仏像の時代別特徴

以下に、仏像の時代別特徴を整理しました。仏像の時代鑑定にどうぞ(あくまでも傾向ですのであしからず・・・)

姿勢

目の形

彫眼玉眼かでおおよその時代がわかります。彫眼は目を直接彫ったもので、平安時代までの全ての仏像はこれです。玉眼は水晶を使った目のことで、鎌倉時代以降のほとんどの仏像に用いられていますが、まれに玉眼でないものもあります。また鎌倉時代以前には、黒曜石や瑠璃(ガラス)を使われたものもあります

▼一般形
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
彫眼 玉眼
・杏仁形(きょうにん=あんずの種の形)
・上瞼と下瞼の縁線が同じ長さ
・伏し目
・上瞼の中央が垂れ下がり、下瞼が少し上がる
・目尻が少し上がる
・目尻が切れ長でつり目
・瞼のふくらみが大きい
・上瞼は直線
・瞼は薄い
・奈良時代に比べて小さい
・三日月型(目尻と目頭がつり上がる)
・瞼は薄い
・[中頃] 上瞼の線が水平になる
・[末期] 再び三日月型に戻る
・上瞼の線が少し垂れる
・下瞼は瞳のところで大きく垂れる
・上瞼の線がさらに垂れる
・上瞼のふくらみがなくなる

▼忿怒相の場合(明王・天部)
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
少し大きく見開いているが、
怒りを感じない
上瞼の中央を下げ、怒りを表現するようになる 次第に上瞼が張り裂けたようになり、強い怒りの表情になる

▼不動明王の場合
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降

正眼
両眼を見開き前方を凝視
(上歯で下唇を噛み、両側に下向きの牙)
不動明王の天地眼(平安末期〜)
天地眼
右目を見開き天を見、左目は半眼で地を見る(右の牙は上を向き、左の牙は下を向く)→前方だけでなく、天地間のあらゆる衆生を救おうとするものと考えられています

<資料>
・目の形外観図
目の形
(上から)
飛鳥、 白鳳、 天平、 平安前期、 同後期、 鎌倉、 室町
・現存する最古の玉眼 長岳寺勢至菩薩
(平安末期)
・現存する最大の玉眼 三十三間堂十一面観音
(推定2.5×20cm)

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鼻の形


飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
・高く狭い
・小鼻のふくらみがない
・鼻の穴はしるし程度
・丸みを帯びる
・小鼻が強調される
・鼻の穴が浅い円形に彫られる
・鼻の穴がいかにも呼吸しているような写実的表現になる ・鼻の穴はしるし程度 ・他の時代に比して最も低く、小鼻のふくらみも小さい
・鼻の穴はしるしすらない
・写実的表現すすむ
・鼻の穴はただあいている程度
・顔が面長になるので鼻も少し長くなる
・小鼻は小さく、穴も小さい


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耳の形

耳飾りを付けるのはほとんどが観音像。天部の像には、耳たぶの穴がない
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
・長方形
・耳たぶは輪郭のみ
・穴はほとんどあいていない
・全体的に丸みを帯びる
・耳たぶの穴も大きくあけられる
・肉づきがよい
・耳たぶは量感あるつくり
・肉づきを失う
・耳たぶの穴は完全にあけきらない
・耳たぶが細くなる ・奈良後期の形に戻る -


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口の形

▼一般形
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
アルカイックスマイル
アルカイックスマイル
(古拙の微笑・・・口の両端が少し上がり、かすかな微笑みを浮かべる口元)
奈良前期の口の形
・口全体が水平に近づく
・さらに水平になる
・より写実的になる
・唇の肉づきがよい
平安前期の口の形
・口元を突き出しているので、鼻の下が短くなる
・口元を軽くへの字に結ぶ
・顔全体に対して、幼さが残るように見える
・唇の肉づきが薄くなる
・冷ややかな表情にも見える
・奈良時代に似るが、小ぶりになる ・平安後期に似るが、より小ぶりになる

▼忿怒相の場合(明王・天部)
飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
口の両端を水平よりやや上向きに、口を大きく開けない やや怒りが表現される より写実的で、最も激しい怒りの表情を表す 内に秘められた怒りの表現 力強い表現も、細部の肉付けや表情に乏しい -


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顔の形


飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
・面長で角張る ・丸みを帯び短くなる ・ふっくらとした丸形 ・ひきしまった丸形 ・奈良後期に戻る ・面長で丸みを帯びる ・面長
飛鳥時代の顔の形 奈良前期の顔の形 奈良後期の顔の形 平安前期の顔の形 平安後期の顔の形 鎌倉時代の顔の形


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肩の形


飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
いかり肩が多い肩の形 普通肩
(鎌倉末期〜)なで肩


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姿勢


飛鳥 奈良前期
(白鳳)
奈良後期
(天平)
平安前期 平安後期 鎌倉 室町以降
極端なそり身 そり身 直立 前倒れ

・姿勢の外観図
姿勢
(左から)
そり身、直立、前倒れ

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