〜大磯 妙大寺〜
新築された客殿に「一尊四士像」が奉安されました
 大磯駅を降りて最初のガードを抜けると、そこが日蓮宗妙大寺です。
参道入り口には、「松本順氏の墓所」を案内する標(しるべ)がありました。
瀟洒な山門奥の、欅作りの本堂と数奇屋造りの真新しい客殿は、坂田山の深い緑に囲まれています。

 妙大寺客殿新築を機に、彫像が計画された一尊四士像(釈迦如来像と四菩薩像)は、2004年7月勢山社舞子工房で厳かに鑿入れ式が行われ彫像が開始。2005年10月末に完成し、11月に横浜で開催された「勢山社佛像彫刻展」に特別出展された後、新しい客殿に奉安されました。

 半年後の2006年5月には、「妙大寺開創550年大法要」があり、「一尊四士像」も披露され、像の前に集う方々の、喜びの表情がとても印象的な一日でした。
釈迦如来像と四菩薩像たちは、大磯の地で末永く親しまれることでしょう。
深い緑に囲まれた妙大寺の本堂と客殿
2004・7 鑿入れ式が行われました
釈迦如来坐像と四菩薩像の制作が開始されました
五穀や野菜・果物などが供えられた
  勢山社舞子工房の鑿入れ式祭壇
緊張の一瞬!佛となる木に鑿が入れられました
それぞれの想いを込めて
完成への祈りが捧げられました
樹齢300年以上の木曾檜を使い木寄せがされた像
用材の角を丸め木取りがされた後荒彫りが進みます
仮接着がはずされ内刳りがされた後縁起などが書かれた札が納められました
光背や台座に淡い彩色と截金(きりがね)が施されました
さらに衣にも同じ行程が進みます
<截金>唐の時代に誕生した佛像の装飾技法です
金箔を5〜7枚重ねて接合。竹刀で髪の毛ほどに細く裁ち、2本の筆を繰り文様を作ります。
2005・11・3〜6 勢山社佛像彫刻展に特別出展されました
             会期4日間で7000人の来場者が訪れた勢山社展
一尊四士像の美しい彩色と精緻な截金に感嘆の声が上がっていました
2005・11 妙大寺客殿に安置されました
      待ちに待ったこの日
  一尊四士像は大磯の地で
 人々に親しまれることでしょう
慎重に組み立てが進みます
2006・5 開創550年慶讃 天童音楽大法要が執り行われました
開山550年、慶びの日の妙大寺山門前
境内では万灯が奉納されました
  お稚児さん(天童)による
祭文の奉納はとてもかわいく
    ほのぼのしていました
多数の関係者などが見守る中厳粛にそして和やかに法要が進みます
妙大寺にすっかり馴染んだ一尊四士像 
中央「釈迦如来像」と両脇の「四菩薩像」
     日本で最古の海水浴場=大磯
  妙大寺には日本で初めて海水浴場を認定・紹介した松本順氏の墓所があります。初代軍医総監であった氏は、「この地の潮水は病を治し空気は保生の効あり」と小照ヶ崎海岸を日本で初めて海水浴場に認定し、明治18年に全国に紹介しました。当時の海水浴は、激しい波で体を打つことで医療効果を高めるのが目的で、その後  大磯には全国の名士の別荘が建てられました。また明治20年に横浜から国府津まで鉄道が開通したことで、大磯はいっそう繁栄。
  妙大寺の西側一帯は、松本順氏の功績をたたえて町民から氏に贈られた土地で、氏はここに別荘を建て76歳で他界するまでの晩年を過ごしました。
松本順氏の墓碑と墓誌にはその功績が詳しく記されています
像の前で集う法要参列者の皆さん
     整備された境内の涼しげな筧(かけひ)や
60年に一度花を咲かせる竜舌蘭(りゅうぜつらん)