曼荼羅とは
サンスクリット語のマンダラを音写したもので、「壇」「円輪（輪円）具足」「聚集」などと漢訳されます。古代インドでは、神を祀るために築かれた土の祭壇のことをマンダラと呼んでいたことから「壇」と訳され、これが密教に取り入れられ発展したものが現在の曼荼羅です。「円輪（輪円）具足」とは、車輪が車軸やスポークなどの部品（円輪）が完全に揃って（具足）はじめて機能を果たすという意味から、また「聚集」とは、諸仏の集合体であるという意味からきています。
曼荼羅の種類
曼荼羅は大きく二つに分類されます
| 普門の曼荼羅 |
空海が伝えたとされ、大日如来を中心に、様々な如来、菩薩、明王などを並べたもので、両界曼荼羅（金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅）がこれにあたる。
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別尊曼荼羅、
一門の曼荼羅 |
釈迦如来、阿弥陀如来、観音菩薩などを中心として、その眷属などの一門を描いたもの。大日如来の個々の徳を他の如来や菩薩などの姿に表したもので、各曼荼羅の中心である如来や菩薩は、大日如来の化身とされる。
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また、表現方法の違いから四種類に分類されます
だいまんだら
大曼荼羅
（現図曼荼羅） |
様々な如来、菩薩などを極彩色で描いたもので、両界曼荼羅（金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅）がこれにあたる。広大無辺の大日如来の世界を表現している。
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さんまやまんだら
三眛耶曼荼羅 |
諸仏を直接表さず、それらが持っている持物などで象徴的に表現したもの。大日如来の衆生救済の使命が万物に生かされていることを表現している。
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ほうまんだら
法曼荼羅
（種字曼荼羅） |
諸仏を直接表さず、梵字（サンスクリット語の文字の一種）で表したもの。種字とは、諸仏のサンスクリット語の名前の頭文字のこと。
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かつままんだら
羯磨曼荼羅 |
諸仏や持物を鋳造や彫刻などで立体的に表したもので、大日如来の徳に裏付けられた万物の働きを表現している。
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金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅
| 両界曼荼羅 |
経典 |
別名 |
概要 |
| 金剛界曼荼羅 |
金剛頂経 |
くえまんだら
九会曼荼羅、
西曼荼羅 |
大日如来の智慧の世界を表現（上が西）
| 四院会 |
一印会 |
理趣会 |
| 供養会 |
成身会 |
降三世会 |
| 微細会 |
三昧耶会 |
降三世
三昧耶会 |
じょうしんえ
成身会 |
智拳印の大日如来を中心に、阿閃、宝生、阿弥陀、不空成就の五智如来をはじめとする金剛界三十七尊を含む1061体が描かれる（上が西）
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阿弥陀如来 |
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| 宝生如来 |
大日如来 |
不空成就如来 |
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阿閃如来 |
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さんまやえ
三昧耶会 |
７３尊を、持物を象徴的に描く
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みさいえ
微細会 |
金剛界三十七尊をはじめ、７3尊が描かれる
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くようえ
供養会 |
７3尊が描かれるが、それぞれ蓮華の上に、持物をとった形で描かれる
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しいんえ
四院会 |
智拳印の大日如来を中心に、13尊を描く
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いちいんえ
一印会 |
智拳印の大日如来のみ描かれる
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りしゅえ
理趣会 |
金剛薩た菩薩を中心に17尊を描く
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ごうさんぜえ
降三世会 |
智拳印の大日如来のほか77尊が描かれる。このうち十六大菩薩は全て降三世印を結ぶ
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ごうさんぜさんまやえ
降三世三昧耶会 |
金剛界三十七尊をはじめ７7尊が持物を象徴的に描かれる
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金剛界曼荼羅
（提供：仏教美術 中 様） |
| 胎蔵界曼荼羅 |
大日経 |
東曼荼羅、
理曼荼羅、
因曼荼羅 |
大日如来の慈悲の世界を表現（上が東）
外金剛部院
| 文殊院 |
地
蔵
院 |
釈迦院 |
除
蓋
障
院 |
観
音
院 |
遍知院 |
金
剛
手
院 |
中大
八葉院 |
| 持明院 |
| 虚空蔵院 |
| 蘇悉地院 |
外金剛部院 |
ちゅうたいはちよういん
中大八葉院 |
蓮弁を広げた形で、法界定印の大日如来を中心に9尊が描かれる（上が東）
| 弥勒菩薩 |
宝どう如来 |
普賢菩薩 |
| 天鼓雷音如来 |
大日如来 |
開敷華王如来 |
| 観音菩薩 |
阿弥陀如来 |
文殊菩薩 |
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へんちいん
遍知院 |
仏心院とも呼ばれ、七倶胝母（准提観音）など7尊が描かれる
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じみょういん
持明院 |
五大院、持明使者壇とも呼ばれ、無動尊（不動明王）など5尊が描かれる
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かんのんいん
観音院 |
蓮華部院とも呼ばれ、観音菩薩をはじめとする二十一菩薩と、十六使者を従え、計37尊が描かれる
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こんごうしゅいん
金剛手院 |
金剛部院、金剛薩た院とも呼ばれ、金剛薩た菩薩など33尊が描かれる
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しゃかいん
釈迦院 |
説法印の釈迦如来を中心に、39尊が描かれる
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こくぞういん
虚空蔵院 |
虚空蔵菩薩を中心に28尊が描かれる
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もんじゅいん
文殊院 |
文殊菩薩を中心に25尊が描かれる
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そしつじいん
蘇悉地院 |
8尊が描かれる
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じょがいしょういん
除蓋障院 |
9尊が描かれる
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じぞういん
地蔵院 |
地蔵菩薩を中心に9尊が描かれる
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げこんごういん
外金剛部院 |
天部や龍など205尊が描かれる
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胎蔵界曼荼羅
（提供：仏教美術 中 様） |
別尊曼荼羅
大日如来の個別の徳を、ほかの如来、菩薩を主導として表現したもの。具体的で分かりやすいため、中世以降盛んに信仰されるようになりました。
| 法華曼荼羅 |
法華経に基づく息災祈願の本尊で、釈迦如来と多宝如来を中心とする
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法華曼荼羅
（提供：仏教美術 中 様） |
| 阿弥陀曼荼羅 |
極楽往生を願い、阿弥陀如来を中心とする
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| 釈迦曼荼羅 |
説法印の釈迦如来を中心とする
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など様々な曼荼羅が描かれています。
（注）曼荼羅は「曼陀羅」と書く場合もあります。総称を「曼陀羅」、個別に例えば「金剛界曼荼羅」などと記述するケースが多いようですが、必ずしも一定していません。弊サイトでは「曼荼羅」として統一しています。
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